J-HOPE onlineコンサート in ソウル レポート(ネタバレあり)
帰ってきたJ-hope
ソウルで行われた3Daysの中2日目、私は、20年位前なら国内アーティストを生で見られるくらいの料金を払って購入したオンラインチケットで、午後6時からのオンラインコンサートを見ていた。
翻訳言語は選べるようになっており、カメラアングルも4つの中から選べるようになっていたが、とりあえず元々の標準画面で見ることにした。
アップ画面では、ステージがとてもシンプルに見えた(後半、一番引きのアングルで見ると、照明やスクリーン映像技術、稼働ステージの技術が優れていることに気づいた)。
私は2023年のAgust Dのライブコンサートもオンラインで何回か見ていたので、今回のJ-hopeライブコンサートにも、製作者サイドの経験が踏襲されているように感じた。
Agust Dこと通称ユンギのステージではサポートバンドの生演奏を前面に押し出したような作りであったが、今回は、サポートミュージシャン(メンバーは一新)はオーディエンスの視覚からは消され、あくまでJ-hopeのエンターテイナーとしての完成度を見せる作りとなっていた。
ファンションブランドのアンバサダー経験も豊富なJ-hopeらしく、オープニングの洗練された舞台衣装が目を引く。
序盤から「Arson」に差し掛かった頃、会場の一体感は、オーディエンスのレスポンスで、見ている者たちにも容易に感じとることができた。
その瞬間、心なしかJ-hopeの緊張がほぐれ、微笑んだように見えた。
いわゆる軍白期1枚目のソロアルバム「Jack In the BOX」からのナンバーが、MCも挟まずにたたみ掛けられていく。
つきなみな言い方だが、兵役を終えて、明らかに力強い男らしさが増したように見えるJ-hope。
なにより驚かされるのは、このライブが転役からまだ4ヶ月半ほどしか経っていないということだ。
体型もさることながら、歌声、パフォーマンス、どれをとって見ても、この短期間で元通り、いやそれ以上に仕上げてくるBTSというグループメンバーは、追従するアーティストたちも、先輩アーティストたちも、そのストイックさや活動量を認めずにはおれないだろう。
「花様年華」への期待
ステージの区切りにネット上で流されるVOD映像という構成も2023年Agust Dを踏襲しているが、今回、回数はそれほど多くはなかった。
前回を踏襲していると書いたが、10年来のファンなら、イメージ動画の謎解きはここ数年で始まったことではなく、以前からずっとある、と答えるかもしれない(そう、私が詳しくないだけだ。なんせ謂わゆる”Dynamite以降のファン”なので)。
「花様年華」シリーズの映像は、こんな後追いのファンでも、様々な謎解きの解説がARMY(ファンダムの名称)によって展開され、ユング学者なども巻き込んで分析されたことくらいは知っている(関係ないけど、一応、私も心理学部)。
そういえば、BTSの育ての親の通称パンPDが、メンバーが兵役から全員帰ってきたら「花様年華」シリーズを再開するようなことを言っていたね。
さて、話を戻して、VODでのJ-hopeは、Agust Dと同じく、全く言葉を発することなく、不可思議な謎に満ちた世界でもがいていた(のちにこれは精神分析で言うところの心象風景なのだと気づく)。彼のキーワードは”BOX から抜け出す”だったのかも知れない。
J-hopeのルーツ、ストリートダンス
VOD明けからは一転、ソロでの2枚目のアルバム「Hope on the Street Vol.1」の世界観へと変わった。
先行リリースされたシングル曲「on the street」が始まると、J-hopeのルーツとも言えるストリートダンス(彼が練習生時代には既に一通りの種類のストリートダンスをマスターしていたと知ったのは、Amazonでドキュメンタリー「HOPE ON THE STREET」を見てのことだ。)の世界へオーディエンスは誘われた。
ライブ序盤が、世界的トップスターとしてのJ-hopeだったとしたら、このパートは韓国光州のストリートから出てきた一人の青年の成功物語のJ-hopeなのかも知れない。
”三・一節という韓国の国民的祝日に光州出身の成功者がソウルでライブを行った”などと感慨深く政治的意味を付そうとする人は、もういない(BTSが多様性の象徴として奉られることには彼ら自身もウンザリだろう)。
彼らはただ、「自分たちの音楽を守り抜く」という目的の為だけにきっと活動してきたに違いないのだから(もっとも、私がそのスローガンの意味の深さに気づいたのは、まだ最近のことだけれど)。
ファンダムの成熟度
しばらくして、何かの曲でJ-hopeの求めに応じて、会場全体に響くオーディセンスのアカペラコーラスが、まるで前回のAgust Dの日本公演を見ているようだった。
あとの情報で知ったのだが、この日のソウルコンサートには、欧米、その他韓国外からも多くの濃いARMYが訪れていたようだ。にも関わらず、とても行儀良く見えるのは、スマフォ録画等が日本公演に倣って厳しく禁止されていたからかも知れない。
公演中、スマフォを向けているファンは見えず、MC中に大声で奇声をあげる観客もいない。
むしろアミボムの光の海がステージセットの重要な効果であるかのような、オーディセンスのコーラスレスポンスも元々バックコーラスであったかのように、見事に融和していた。
当たり前だが、オーディエンスのリハーサルがあったわけではないことを考慮すれば、この融和性は、10年単位で培われたファンダムの経験と絆、そしてアーティスト相互の信頼関係をもってこそ成せる技なのかも知れない。
新曲はJ-hope初のラブソング
次のVODでも、まだJ-hopeは箱の部屋で試行錯誤していた。
様々な手がかりを探し、脱出ゲームに取り組んだ挙句、ようやく出口を見つける。
扉の外は煙が一面に立ち込めていた。
しかし次の瞬間、再びステージに切り替わると、扉の向こうはアミボム(ARMY bomb:ファンが持つペンライトで、K-POPアーティストごとにデザインが違う。)の海。
リリース前に披露される新曲は、彼が事前インタビューでコメントしていた通り、ARMYへの愛を最大限に表現していた。
スモークはやがて青空に浮かぶ白い雲へと形を変えたかのようで、そこに存在するのは、アーティストとファンの互いの幸福だけであるかのようにも見えた。
曲が終わると、幸せそうな表情で語り始めるJ-hope。
新曲のタイトルは「Sweet Dreams (feat.Miguel)」であることを照れくさそうに紹介した。
(尚、この新曲は3月7日発売)
J-hopeは新曲への思いをしばらく紹介したあと、「少し話すぎた」と自戒しつつも「J-hopeのステージだから、好きにやればいいよね」(このセリフを聞いて私が真っ先に思い出したのは前回ツアー中のユンギ。彼は少なからずアドバイスしたのかな?)
これはソロ総括ライブだ!
新曲のお披露目もあったし、そろそろ本編も終盤かな?と思っていた私は、このあと度肝を抜かれることになる。
次に始まったのは2018年3月リリースのアルバム「Hope World」からのセットリストだった。
BTSの活動と並行して出されたこのアルバムの中から、ヒット曲の数々がこれでもかとばかりに披露された。 ここで私はようやく気づいた。
今回のツアーは軍白期ソロアルバムを主体としたコンセプトツアーなんかじゃない。これはこれまでの10年以上のソロ活動を総括するアニバーサリー的ツアーだ!(オンラインチケットが高いってほざいて、申し訳ありません。土下座。)
オリジナルアルバム3枚分のボリュームなんです!日本だったら伝説のロック歌手が20周年くらいでやる内容なんです!(もうわかったから、落ち着け自分、、)
しかもまだ、30歳くらいなんですよ、この方!人生の時間も体力もまだたっぷり残ってのこれですよ(そこ?)
(途中、ファンサービスの一貫で、ステージを降りてスタンディングエリア近くまで歩いていくJ-hopeに生ライブらしいファンの悲鳴が上がる。)
曲に余計なアレンジが加えられていないことで、オリジナルでしか聴いたことのない最近のファンにとっては、聴き慣れた、しかし其々が思い描く通りの曲を生で聴いたという喜びでもあった。
(ここで私は、ようやく画面アングルのことを思い出し、観客になったつもりで引きのアングルに変更。すぐ戻したけどね。)
疲れを知らないJ-hopeの声とスタミナ、体幹の強さは、やはり兵役という厳しい訓練の賜物なのだろうか?終始、歌いっぱなし、ダンスしっぱなしのJ-hopeは数倍にもパワーアップされて帰ってきたかのようだ(ツアー中あるある、向かうところ敵なし)。
少し、お茶目な仕掛けのある「Daydream」で彼らしさが弾ける。サビは安定の歌唱力(これ動画で見たことあるシーンだ!、、、完全にミーハーです。土下座2回目。)
ここでふと思う、メンバー7人揃ったら、どうなるの?(いやがうえにも、兵役明けのBTSへの期待が高まる。ふふふ)
オーディエンス12,000人という会場規模も丁度良いよね(結局、終始ベタ褒め)。多過ぎす少な過ぎず。
本編ラストの曲は自分も「Hope World」中で一番ノリが好きな曲だった(わたくし、ヘイジュードよりヘルプが好きな人だからね)。ってか、この曲に関しては、オーディエンスがおとなしくさえ見えた(きっと北米ARMYは、やってくれるだろう。前回、ユンギツアー参照)。
アンコール待ちには、恒例の会場のプラカード紹介。
ソウル3.1らしく太極旗も見えて、自然発生的に2階席でウェーブが起こる(こういうの好き)。
ソウル3days終了、北アメリカツアーへ
アンコールでは、くつろいだ雰囲気のJ-hopeを天井からのカメラが見下ろすと、ステージにBTSと ARMYのロゴマークが呼応するように浮かび上がった。
今や、ファンクラブに入っていても、ファンダムの大きさから、チケットがなかなか入手できないBTS。
興味のある方は、Weverseアプリをダウンロードして、オンライン視聴チケットを入手してみるのはどうだろうか?
(私は、もう一度、3月8日の見逃し配信を見ます!!)
j-hope Tour ‘HOPE ON THE STAGE’ ツアー予定
SEOUL
2.28-3.2 (Done)
NORTH AMERICA
3.13-14 BROOKLYN
3.17-18 CHICAGO(ROSEMONT)
3.22-23 MEXICO CITY
3.26-27 SAN ANTONIO
3.31-4.1 OAKLAND
4.4, 6 LOS ANGELES
ASIA
4.12-13 MANILA
4.19-20 SAITAMA(JAPAN)
4.26-27 SINGAPORE
5.3-4 JAKARTA
5.10-11 BANGKOK
5.17-18 MACAU
5.24-25 TAIPEI
5.31-6.1 OSAKA(JAPAN)
*追加公演未定